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3月5日'02

香  港  で  の  生  活

vol. 3

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(香港の食べ物)
田 中 秀 歩
(たなかひでほ)
の住むアパートはキッチンがトイレ・バスの横に有る。というより、トイレの横にものすごく小さい流し台がついているだけで、料理する時は蓋を閉めた便器がキッチン台……で、あまり自炊する気にはならず、日々の食事は専ら外食やテイクアウトである。貧乏学生ゆえ、食べるのはいつもローカルな安食堂。お粥や麺が専門の“粥 麺 専 家”ローストの鳥類や 焼がぶら下がっている光景でおなじみの“ 焼 臘 店(siiu2 laap9 diim1、庶民的な喫茶兼食堂の“茶 餐 廳(chaa4 chaan1 teng1といったところが中心だ。

これが「焼鵝油鶏飯」。分かりにくいですが、上が焼鵝、下が油鶏で、油鶏にはネギとしょうがのたれが付く。上の青菜が菜心(チョイサム)。発砲スチロールのふた付きランチボックスは映画でもお馴染みですね。
photo by  田中

 
”では店頭にぶら下がっているロースト類をぶつ切りにして「 菜 心 (chooi3 sam1という青菜と一緒にご飯にのせた「焼 味 飯」をよく“[才羅]走(loo2 jau2(持ち帰り)する。僕の定番はガチョウのロースト「焼 鵝(siiu1 ngoo2と鳥の醤油煮「 油 鶏 (yau4 gai1をのせた「焼 鵝 油 飯(左・写真)や「 叉 焼 」(焼き豚)に目玉焼きを添えた「叉 焼 煎 蛋 飯(chaa1 siiu1 siin1 daah2 faan6で、値段もだいたい25〜30ドルで安いしボリュームもあるからついこれに頼ってしまう。
焼 鵝 油 飯」は周星馳(jau1 sing1 chii4の映画「食神」(sik9 san4でも“究極の料理”として出てきて、それを見るといかにこのシンプルなローカルフードが香港の人達にとって“心の料理”かが分かり、またそんな事を考えつつ食べるとより美味しい。せっかく香港にいるのだから日本ではめったにないが香港では身近なこの食べ物を充分に食べておかないと損だ。とはいえあんまり食べているとさすがに飽きはするが。だから他には茶餐廳で炒飯や「干 炒 牛 河」というきしめんみたいな太めの麺と牛肉、野菜を炒めた焼きそば、肉や野菜を炒めたものをご飯にぶっかけたものなどを食べている。
近好きなのは「bou 仔 飯(bou1 jai2 faan6という言わば香港式の釜飯で、時折茶餐などの店先に一人用の土鍋を火に掛けたものがずらっと並んでいるのを見かけるが、種類によって排骨(豚のスペアリブ)や腸詰、菜心などの肉や野菜の具がそれぞれ入っている。醤油(こちらの醤油なので味がまた違うもの)を掛けてジュージュー言わせつつ鍋底にこびりついたおこげをはがして食べるのが楽しい。うまくはがれてくれるとそれは小さな幸せである。
港は街中でモノを食べていても平気な所で、結構みんなそうしているので、往来でモノ
を食べてもあまり人目をはばかることはない。街角には“小 食 ”と呼ばれるローカルな軽食類を売る店がよくあって、そこで人々は魚団子や焼賣(siiu1 maai5を串にさしたものや、魚のすり身を野菜などにつけて揚げたものを店先で買ってその場で食べている。ぼくも小腹がすいた時はそこで買って食べるが、好きなのは「 炸 大 腸(jaa3 daai6  cheung2という、大腸を素揚げしたものを輪切りにして串にさしたもの。タレとマスタードをつけて食べるのだが、揚げて”サクット”した歯ざわりに続く大腸の噛み応えが病み付きになったりする。



 
 
 
 
  

「叉焼煎蛋飯」なぜ目玉焼きがついただけでこんなにうまいんだろう。略して「叉蛋飯」とも言う。 photo by  田中
して「臭 豆 腐(chau3 dau6 fuu6。その名の通り豆腐が臭い。腐らせているから。だからそれを売っている店の辺りはひどい悪臭で、小食が建ち並んでいる所でひどい悪臭がしたらそのせいである。ここにいるからには何事も試してみないといけない。そんな使命感に燃え(?)、僕は早速食べてみた。揚げ豆腐してあり、トウバンジャンのような辛いタレをかけて食べるのだが食べてみると、これが何ともコクの有る味でうまかった。やはり何事も挑戦してみない事には分からないということか。すっかり好きな食べ物の一つになってしまった。臭豆腐自体に臭いはそれほどなく、もちろん臭うことは臭うが、すごいのはそれを作っている店から放たれる臭いなのだ。
る日、旺角(wong6 gook8の悪臭漂う通りで臭豆腐を買い、近くの露店でジュース買ったら、そこのおじさんが僕の買った臭豆腐の臭いに気付いたらしく、自分はいかに臭豆腐が臭いから嫌いかを広東語で僕に話し出した。詳しくは理解できないがおおよそそんな事を喋っていた。僕は、だったら臭豆腐の臭うこの通りでよく商
売をしているなあ、嫌いなくせに……、と思いながらこの面白いおじさんの話を聞いたのだった。
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